蛍火(ほたるび)

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「彼はあなたからゲンゴロウ入りの佛跳牆の話を聞いて、含まれている成分に気づいたんでしょう。そして、ディナーの料理に狭心症の治療薬を入れた。この薬だけでは害にはならないし、毒物として検出されることもない。うまく考えたものだ。と言っても、使われた薬品の見当がついてしまえば、後は何でもない。大隈社長が飲んだ佛跳牆からは、シルデナフィルクエン酸塩、ディナーのステーキに添えられたソースからは、狭心症の発作予防薬、硝酸イソソルビドが検出されました。小森支配人が常用している薬品と同じ成分であることも確認済みです」 「小森がそんなことを……」  信じられないという表情でさくらが小森を見つめると、小森はおどおどと目を伏せた。
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