11人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
1えっ?聖女止めていいんですか?
神聖なる大聖堂のオーディン神像の足元で首を垂れる一人の女性。
伏せられた瞳は美しい曲線を描いてまつ毛が小刻みに震える。
この国の加護の祈りを捧げる聖女それがアリシアだった。
ここはティルキア国のアステール山にある神殿。
1000年以上も前に作られた神殿はすでに建物はなく大きな柱を残すばかりだったが、神殿の奥の岩場の中には洞窟がありそこには神や魔界ににつながる神聖なオルグの泉があった。
日常の祈りや神事は新たに作られた大聖堂で行われるのが常だった。
祭壇上で行われる神聖で厳かな儀式が…
だが、今日は違った。
そんな大聖堂の議場では今まさにアリシアに対して断罪が行われようとしていた。
「いいですか皆さん。このアリシアは聖女と言う立場を利用し国民からの寄付金を長年にわたり着服していたのです」
そう声を荒げたのはこの国の宰相バルタザール・フィジェル元公爵だった。
その隣にはアリシアと同じ聖女の服を着た彼の娘マイヤがいる。
最初のコメントを投稿しよう!