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「待って下さい。それは誤解です。私は国王がなくなった晩はグレン殿下と一緒だったのです。だからそのこともお話するつもりでこちらに伺ったんです。私やグレン殿下は国王の部屋などに行ってはいません。どうか話を聞いて下さい」
「無理だ。グレン殿下は昨晩、牢から逃げたままだ。どうせ捕まるのが恐くなったんだろう。もしかしてお前、殿下に頼まれて疑いを晴らそうとしてるんじゃないのか?」
門番は仲間と共に腰の剣に手をかける。
「本当に違うんです。私もグレン殿下もそんな事はしていません。治癒魔法で国王の治療をした後は一切国王に近づいてなんかいません。どうか信じて下さい。それにお取次ぎをお願いします」
「取次など無用。さあ、連れて行け!」
ひとりの門番がそう言うとふたりの門番がアリシアの両腕を掴もうと近づいてきた。
アリシアの前にヴィルが出て話を始める。
「まあ落ち着いてくれ。本当に俺達は何もしてはいない。国王を手にかけるなどありえない。それにそんな事をして帰って来るとでも?なあ、話を聞いてくれないか?」
ヴィルは、まあまあと両手を掲げて門番に落ち着くよう話をする。
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