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「ヴィルそんな嘘なんか?」
「いいから黙って…」
こそこそしてるレオンがにんまりする。
「おいおい、兄妹で仲良くやってるじゃないか。まあいい事だ。じゃあ、早速だが大司教のところに行こうか」
「ええ、そうね…」
またヴィルが耳元で言った。
「アリシア転移魔法がつかえたなんて絶対に言うなよ。今は誰にも言わない方がいいと思う」
「ええ、でもオルグの泉で祷りを捧げて魔狼を退治できるならグレンに頼まなくてもいいって事じゃない?帰って来て良かったかもね」
アリシアはそう言った途端もうグレンに二度と会えないかもと思った。
そしたら何だか胸が締め付けられるように苦しくなった。
な、何考えてるのよ。あんな口の悪い男。こっちから願い下げよ。そうでしょ?
***
大司教の執務室に行くと大司教が驚いた。
「あ、アリシア。ヴィル一体どうしたんだ。帰って来たということはもちろんシーヴォルト殿下と話が付いたという事か?」
ガイル大司教は執務机から回り込んでふたりに近づいた。
「いえ、あの…大司教…そんなすぐには無理ですよ…それが実はですね…」
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