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ここにいられるのは誰のおかげかよく考えろとか。
まったくお前には呆れるとか。
どれほどアリシアをなじり、さげすみ、あげつらい、見くびられて来たことか…
アリシアは喉をごくりと鳴らす。
「アリシア?大丈夫か?」
ヴィルが心配して声を掛ける。
「ええ…」
いつも感じて来た恐怖心や怖気づきそうな気持を振り払うように唇をぐっと噛みしめる。
もう私は聖女をやめてここから出て行くんだもの。いつまでも大司教の言いなりになんかなったりしない。
アリシアはぐっと顔を押し上げた。
目の前に柔らかな表情を浮かべた大司教の顔があった。
「あの…怒ってないんですか?いつものように私が浅はかだとか言うんじゃ…?」
ガイルがアリシアの手をそっと取る。
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