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「それだけでいいんですか?」
アリシアはポカンと口を開けた。あまりに簡単な事で拍子抜けする。
「ああ、聖女の加護の力で魔狼を呼び戻せるそうだ。その神々しい光に魔狼は引き寄せられるそうだ」
「なんだ。そんな事で…だったらアラーナ国に行かなくてよかったじゃないですか」
グレンと出会う必要もなかった。顔だけは整っているくせに今上位の悪いあんな男と!
何?さっきから私ったらグレンの事ばっかり…どうしてこんなに彼が気になるのよ。
あんな別れからしたからよ。
それまで黙っていたレオンがいきなり口をはさんだ。
「大司教。ですが祈りを捧げるだけでは…」
「レオン話は私がする。お前は黙っていろ!ここから先は神殿関係者で決める事だ」
ガイルは声を荒げる。
「ええ、それはわかっていますよ。……では、私はこれで失礼します」
レオンの顔は苦虫を潰したように歪んでいる。
でもさすが命令に逆らうことを許さない騎士隊の大隊長。彼はすごすご執務室から出て行った。
「ヴィル、悪いがお前も席を外してくれ。これは聖女の仕事だからな」
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