19大司教にほだされて

2/6

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/183ページ
 アリシア中で疑問が可能性に変わり始める。  これってもしかして?  「アリシアお前なら出来る。お前は数日前に治癒魔法や魅了魔法を簡単に制覇した。普通そんなことは出来るはずがないんだぞ。絶対にお前なら出来る。いいか、時間もあまりない。疲れているだろうが今からオルグの泉で祷りを捧げてくれないか?」  ガイル大司教はアリシアの両手を取るとその手をぎゅっと握りしめた。  アリシアの不安が一気に払拭されて行く。  「そうですよね。私、自分では気づいていなかっただけで本当は出来る聖女だったんですね」  「そうだアリシア。マイヤはいまだに意識も戻らない。きっと魔界の扉が開いたときに邪気を身体に浴びたせいもあるし魔界の扉を開いた罰かも知れん。魔狼を魔界に戻せばマイヤはきっと意識を取り戻すに違いない。これはお前にしか出来ないんだ。頼むアリシア」  「そんな…頭を上げて下さい。私に頭を下げるなんて大司教らしくないですよ」  アリシアの胸はぞわりとして心は震える。  これは自分にしか出来ない事なんだと思うとすごくうれしかったし誇らしくもあった。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加