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どうかしっかり祷りを捧げれますように。
魔狼を呼び寄せて魔界に帰せますように。
祈りを終えるとアリシアは滝から身体を離した。
「大司教。準備出来ました」
「ああ、十分だろう。では、頼む」
「はい」
アリシアはオルグの泉にゆっくり入って行く。
この泉の入り口は浅瀬になっていて十歩ほど入るとそこから深くなって行く。
「アリシア、もっと深い所までしっかり身体を泉につけたほうがいいだろう」
「ええ、そうですね」
アリシアはどんどん泉の中に入って行く。
「いいかアリシア。お前の魔力の発生源は唇だ。だから唇を泉の水に浸かるようにしなければならん!」
大司教の声は大きく威厳に溢れている。
アリシアはなるほどと思いながらしっかり唇が浸かるところまで入って行った。
つま先を立てているせいで足元がふらついたがそんな事を言ってはいられない。
「では頼む」
「はい」
アリシアは目を閉じて祈りを始めた。
唇に力があると聞いて唇は泉に浸したまま一心に祈りをささげた。
***
「…な、なにを!」
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