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「アリシア許せ。国を救うためだ。お前の犠牲は無駄にはしない。魔狼を呼び寄せるには魔力の強い聖女の魂が必要なんだ。お前が死ねばお前の魂がオルグの泉を光り輝かせるらしい。その時こそ魔狼をおびき寄せる事が出来るのだ。アリシア喜べ。お前が役に立つときがやっと来たんだ。出来損ないのお前を引き取った甲斐があったというものだろう」
ガイルはそんな事を言いながらさらにアリシアを抑え込む手に力を入れた。
「ぶぐぅ、ばちゃ、ばちゃ‥‥…」
アリシアの身体は動かなくなる。
そこにいきなり大きな影が現れた。
その影は泉に真直線に向かってくると水の上を飛んで大司教の身体をぐしゃりとつかんだかと思うと一撃で吹き飛ばした。
「バーン!!」
大司教は洞窟の鍾乳石に激しくぶつかり意識を失った。
「アリシア!アリシア!しっかりしろ!おい、しっかりするんだ。くそぉ。お前殺す!」
激しい憎悪の顔をしながらもグレンはぐったりなったアリシアを泉の中から引き上げた。
岩場にそっと横たえアリシアの身体を揺する。
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