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2もう、こんなはずでは
その日からマイヤがアリシアに変わって加護の祈りをする事になった。
そして事件は起きた。
マイヤの力不足のせいでティルキア国の緩いだ事のない加護が緩んだのだ。
そのせいで神殿の洞窟にあるオルグの泉の湖面が大きく揺れた。
さらにそのせいで二つの勾玉が現れた。
マイヤは何かに囚われたようにオルグの泉に向かう。
その時のマイヤはふらふらしていて足元もおぼつかないような状態でオルグの泉にやって来た。
オルグの泉の中で二つの玉が揺らめいている。
一方は大地の恵みと言われる神々しく光る金色の光を放つ玉。
そしてもう一方は暗黒の揺らぎと言われるどす黒く鈍い光を放つ玉。
「聖女。お前どっちを選ぶ?」
そう声を掛けたのは魔界の入り口にいるドークと言う魔界の妖精だった。
ドークは真っ黒いマントに真っ黒い帽子をかぶっており、口が耳まで裂けている。
マイヤの心は純真でもなく無垢でもなかった。
言われるままにオルグの泉に手を差し入れたマイヤ。
彼女の心はとっくに薄汚れた汚いものだったので迷うことなく暗黒の揺らぎを掴んでしまう。
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