0人が本棚に入れています
本棚に追加
その痣はいつの間にか、右の足の小指にあった。
真っ黒い肌が腐敗したような不吉な痣は、日に日に大きく広がっていき、ついには足首全体を黒く染める。
痛みもなく異臭もない、ただ黒いだけの痣が、ゆっくりと這うように体を登っていった。
あまりに不気味で両親や友人に相談したが、その痣の存在を誰1人認識しない。
霊媒師を自称する女性にも相談したが、首を横に振るだけだった。
そして痣を発見してから1年、痣は私の全身を覆った。
その全身が真っ黒になった日、私は何があるか緊張しながら過ごした。
だが、特に何もない、ごく普通の1日が過ぎる。
首を傾げながら、日々を過ごすうち、1年、2年、と時が過ぎて行った。
そして134歳で老衰するまで、霊的なことはおろか、大きな病気すらなかった。
死後、私は自分の守護霊に会う。
「私の加護、きちんと効いて良かったネー!」
どう見ても黒人の守護霊は、白い歯を見せながらニッコリと笑ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!