ジャスティス・ピンク《ピンクの一人称》

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ジャスティス・ピンク《ピンクの一人称》

 正義の味方なんて、まかり間違ってもやる職業(モノ)じゃない。  どうにかこうにか現在進行形で、ジャスティス・ピンクをやっているこの私、桃乃ピーチが言うのだからウソじゃない。  もちろん金持ちの暇つぶしと言うなら話しは別だ。  ボランティア活動の一環だと思ってやる分には反対はしない。  私の名前は桃乃ピーチ。  売れっ子キャバ嬢でキャバクラ店『ハッピーパラダイス』ではピーチ姫の愛称で人気の的だ。  自慢ではないが来店するほとんどの客は、このピーチ姫(わたし)が、お目当てだと言っても過言ではない。  他のキャストの(ふところ)時事は知らないけれど、それなりのお給料はもらっているだろう。  なにしろ当代きっての売れっ子キャバ嬢だ。  普通のOLの十倍近くはもらっているだろう。  だが正義の味方は過酷な上に何かと出費が(かさ)む。    ほとんど正義の味方は自腹で活動してるのだ。  しかも戦闘後には決まって腕や太ももがアザだらけだ。  さすがに売り物の顔だけはガードしているが痛々しい限りだ。  私は肌が雪のように白いので怪人と闘うとすぐにアザが出来てしまう。  なんとも悲惨だ。  定期的にアザが出来るので、同僚のキャストにはDVの彼氏がいるのかと疑われ始めた。    まさか、悪の秘密結社の怪人との戦闘中に出来たアザとは言えないので、私も言い訳に四苦八苦だ。  今日だって常連客のダーリンと同伴する約束があるのに、悪の秘密結社に絡まれてしまった。  
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