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ジャスティスピンク
「フフゥン、オレはアイドルたちに還元してるんだよ」
「え、還元?」
「そう、恵まれない地下アイドルたちに、ねえェ」
「ああァら、だったら恵まれないキャバ嬢にも恵んでちょーだいよォ。お願い!」
ピーチは甘えて運転するマックロードに凭かかった。
「フフッ、ピーチ姫に?」
マックロードは苦笑した。
「そうよ。今月も赤字なの。ピンチなのよ。部屋代は滞納してるしガスも電気も止められそうなの。スマホもヤバいし」
「えッ、そんなに。だって売れっ子キャバ嬢なんだろう。それなりに稼いでるんじゃないのか?」
「そうなんだけどキャバ嬢で稼いだお給料はみんな正義の味方で、飛んで行っちゃうじゃん!」
「フフゥン、ヤ○ザな商売だからな。正義の味方は」
「そ、ケガをしても労災も降りないし、治療費も自腹なんてやってられないわ!」
「まァな。オレも目の前で大好きな彼女がストーカーに殺されて」
「えェ、マジで?」
「ああァ、美し過ぎる地下アイドル、メイって知っているか?」
「メイ?」
「もうかなり前の惨劇だからな。地下アイドルでそこそこ人気のあった『チューし隊』って言うのがあったんだ」
「へえェ、チューしたいの。マックロード先生?」
ピーチは唇を尖らせキスを迫った。
「いやァグループ名が『チューし隊』って言うんだ。そのチューし隊の不動のセンターが美し過ぎる地下アイドルのメイだったんだ」
「ふぅん。チューし隊ねえェ」
スマホで検索し始めた。
「当時、学生だったオレは彼女に魅せられて推し活をしてたんだよ。まァ学生だから、たかがしれてるけどね」
「そんな昔から推し活を?」
「ああァ毎週末は決まって地下アイドルを応援に駆けつけたんだ。ところが……」
「ところが?」
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