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囚われのヒロイン
『ゲッケケケッ、なにがカニかまぼこだァ。オイ、ピンク。笑わせるな。こいつ等の前でオッパイをポロリさせて、アラレもない姿にしてやろうか?』
カニ怪人はピンクの目の前で大きなハサミを振り回した。
「おおォッ」
周りにいる野次馬の学生たちはドキドキしながらスマホで撮影していた。
もちろんピンクを応援しているが、ピンクの恥ずかしい姿も見てみたい。
いつポロリがあるかわからないのだ。
まさに興奮の瞬間だ。
みんな血眼になっていた。
「うッぜェな。今にカニかまぼこにしてやるから待ってろォ。カニ怪人が!」
ピンクは、ハサミを避けるように顔を背けた。
『はァ、いつまでそんな減らず口を叩いていられるかな。世界中にピンクのオッパイを拝ませてやろうかァーーッ』
怪人カニ・ギルディアの下卑た笑い声が響いた。
ゆっくり焦らすように大きなハサミでピンクの胸元を撫でていく。
「いやァーーーーッ」
またピンクの悲鳴が住宅街に木霊した。
「おおォッ」
さらに野次馬の男子学生たちは身を乗り出した。期待に胸が踊った。
手に手にスマホを持って撮影していた。
だがその時、上空から笑い声が轟いた。
「アッハッハハッやめろォーーッ。そのへんでギルディアの怪人!」
怪人たちに制止を命じた。
『ぬうゥ、誰だァ?』
一斉に怪人や戦闘員たちはキョロキョロと見回し、ビルの屋上を見上げた。
「あ、あそこだ!」
戦闘員のひとりが指差した。
屋上に何者かが立っていた。
だが逆光のため影になって、まったく正体がわからない。
しかしシルエットでもカッコ良い。
「だッ誰だァ?」
野次馬たちも眩しさに目がくらんだ。
「これ以上、か弱い女性に手を出すことは、このジャスティス・ブルーが許さない!」
『なにィ、ジャスティス・ブルー?』
ジャスティスメンバーの中で、最も強いと評判のジャスティス・ブルーだ。
「キャー、ブルー。助けてェ!」
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