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4月22日(月) 放課後・部活中
大輝先輩:──喉が塞がってる感じがするんだ。特に夜宵ちゃん・・・。
私は一瞬で注目を集めた。
・・・さっき歌った時、私は音を外した。
その後も不調で、歌い切った後に私は咳き込んだ。
──やっぱりそうだったんだ。
夜宵:あ・・・・・。実は、裏声を出す時に、よく喉が詰まってるような感覚がしていて・・・。
先輩:そうなんや・・・。確かに裏声ムズいもんな・・・。
・・・・・・どうして、塞がってるんだろう。
よくよく考えてみれば、いつも喉塞いで歌ってる気がする。
・・・別にその感覚で慣れてるから、何も思わなかったけど・・・音を外したり、咳き込んだりとかは・・・喉に負担が掛かりすぎてるからなのかな。
・・・・・・でも、どうすればいいんだろう。
・・・このままは・・・・・・嫌だ。
・・・・・・・・・。
・・・少し、隅っこで歌っていよう。・・・改善するかどうかは・・・分からないけど。
•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆•*¨*•.¸¸☆
夜宵:・・・・・・。
やっぱり、喉がずっと塞がってる・・・。
あくびしてる時の感覚を意識する・・・みたいなことを言ってくれていたけど、それでも全然出来てない・・・。
もちろん、すぐ出来るとは限らないってことは知ってるけど・・・。
『──おい。』
・・・・・・・・・?
『来てるぞ。』
──!
窓の反射で、大輝先輩が僕のところに来ていると分かった。
・・・・・・ちなみに今の『』のセリフは実藤。
・・・勝手に喋ってもらっただけね。
夜宵:あ、大輝先輩。
先輩:大丈夫?ずっと隅っこで歌ってる感じだけど・・・。
夜宵:えっと、さっき先輩に指摘していただいたところを気にしながら歌っていました。
先輩:なるほど・・・。歌ってみてどんな感じ?
夜宵:何度歌っても、やっぱり喉が塞がっています・・・。
・・・多分勝手に塞いでるんだろうね。
先輩:そっか・・・。んー、それが癖で無意識にしていることなら、俺から詳しいアドバイスがあんまり出来ないんだよな・・・。
夜宵:やっぱりそうですよね・・・。
先輩:うん、ゴメンな・・・。
夜宵:いえ大丈夫です!私も、もう少し考えて、なんとか工夫していきます。
先輩:分かった。何かあったら言ってな。
夜宵:はい、ありがとうございます!
大輝先輩は、やっぱりいい先輩。
・・・正直な話、私は今まで、学校で先輩後輩関係をあまり経験してこなかった。
小学生の時、授業みたいな部活が週1であっただけ。
・・・・・その時から私は“年上”と“年下”に苦手意識があったから、同級生の友達としか関わらなかった。
そもそも私は、対して人と関わろうなんて思っていなかった。
・・・小学の時はダンス部だけど、大して楽しいと思う程のことではなかった。
それは私が人と関わらなかったからかもしれないけど。
父や兄、親戚の方がいても、年下が本当に苦手だけれど、年上の男の人にもずっと苦手意識があった。
なんなら、今でも怖さは残っている。
最初は“優等生の仮面”を多く被って、関わっていくうちに1枚ずつ外したりしている。
・・・もちろん、ダメだと思った人には、ずっと多くの仮面を被ったままだ。
本当に、年上の男の人は嫌いだった。
凄く怖かった。
何かされるという思い込みか、体格差などが理由かもしれない。
別に、何かされることは滅多にないってことを頭では理解してる。
それでも、本能で受け入れなくなってしまった。
クラスメイトでも、早月と似ているってだけで、私が無意識に離れようとしている人がいる。
別に、彼は私に何かしてくることはないんだけど・・・。
とにかく話を戻そう。
──といっても、ストッパーを外さないと歌えないことが既に判明しているわけでね・・・。
という話を、一応しておいた。
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