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俺の名前は明。
21歳のときに入社したこの会社に気付けば勤務して8年になる。
営業成績は中の中から中の上位を行き来してる。良い意味で何も言われることが無い。しかし出世とかからは程遠い。
一つは俺には今、その意欲が無い。
そうしてもう一つは…。
「…いいじゃない、黒木さん、飲みにいこうよ?」
「いえ、結構です…。それに少し予定が…。」
「…黒木さんみたいな美人が飲み会に居ると盛り上がるんだよ。」
「…。」
俺の視界の先には課長がデレデレと職員の黒木さんに声をかけている。
入社して2年と間もない彼女はこの会社の洗礼を受けている。
この会社は課長に気に入れなければ評価はないと言っていい。課長の気分の飲み会や機嫌取りが一つの業務だが…。俺はそれをする事はない。
俺は書類を手にしながら課長と黒木さんの間に。
「お取り込み中すみません。申請書に印をお願いします。」
「あ?…そっちのレターケースに入れてくれ。…それより明!この間の飲み会。全員参加って言うのに休みやがって。」
「…すみません。今は…自分は…。」
「いつまでもみみっちい事を…。」
「…。」
俺が課長を見ていると課長はあっち行けと俺を払う。タイミングを失い、黒木さんも、課長から解放された。
「…黒木さんも自分の時間を大切にした方がいいよ。」
「…ありがとうございます。」
黒木さんのお礼も半分に俺は仕事へ向かう。いや向かうフリだろう。
身体が起きている間…彼女を忘れることができない。
「…あの、明さん。先程…助けてくれましたよね?」
「……気にしないで。」
黒木さんは助けられたと思ってくれている。それは間違いではない。でも自分の時間を大切にしてもらったほうがいい。
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