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「…明?」
「はい。」
「そうか、黒木さんは知らないのか?」
昼休みに黒木は同僚に明の話を聞いていた。
「…あいつな、事故で彼女を亡くしたんだって。入社1年目か?2年目か?そんくらいの時だな。乗ってたタクシーが事故に巻き込まれてな、あいつ川に落ちたんだ。その時に一緒にいた彼女が亡くなったんだよ。」
「…明さんが悪かったんですか?」
「いいや、明も彼女も乗ってたタクシーも非はないよ。止まってるタクシーにトラックが突っ込んだ。トラックの運転手の寝不足が原因で。色々とちゃんと和解はしたみたいだけど、あいつはあれからずっとあんな感じ。
噂半分だけど結婚まで考えていたみたいだな。
まぁ、事故の傷が回復してからはちゃんと仕事に復帰してるし、営業成績もほどほど。ただ、飲み会とか気晴らしとか一切というほど…しなくなったな。
最初はみんな傷心で気を使っていたけどいつの間にかそーいうキャラになっているよ。」
「…そうだったんですね。」
「まぁ、黒木さん。素っ気無くてもあいつはそ~いうやつだから。気にしないでよ。」
「はい。」
「それより、黒木さん。今度飯でもどう?」
「結構です。」
「連れないねー。」
黒木は長い髪を揺らして明の同僚をあしらって去っていく。
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