sara

4/11

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「…明?」 「はい。」 「そうか、黒木さんは知らないのか?」 昼休みに黒木は同僚に明の話を聞いていた。 「…あいつな、事故で彼女を亡くしたんだって。入社1年目か?2年目か?そんくらいの時だな。乗ってたタクシーが事故に巻き込まれてな、あいつ川に落ちたんだ。その時に一緒にいた彼女が亡くなったんだよ。」 「…明さんが悪かったんですか?」 「いいや、明も彼女も乗ってたタクシーも非はないよ。止まってるタクシーにトラックが突っ込んだ。トラックの運転手の寝不足が原因で。色々とちゃんと和解はしたみたいだけど、あいつはあれからずっとあんな感じ。 噂半分だけど結婚まで考えていたみたいだな。 まぁ、事故の傷が回復してからはちゃんと仕事に復帰してるし、営業成績もほどほど。ただ、飲み会とか気晴らしとか一切というほど…しなくなったな。 最初はみんな傷心で気を使っていたけどいつの間にかそーいうキャラになっているよ。」  「…そうだったんですね。」 「まぁ、黒木さん。素っ気無くてもあいつはそ~いうやつだから。気にしないでよ。」 「はい。」 「それより、黒木さん。今度飯でもどう?」 「結構です。」 「連れないねー。」 黒木は長い髪を揺らして明の同僚をあしらって去っていく。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加