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瞼の向こうには青い頃の自分がいる。
彼女とした手遊び。
手を掴む前、手を広げるのは相手と同じ指を広げるというもの。
握った手が近づく。
俺が親指を開くと向かいの華奢な拳から赤いネイルをしたしなやかな親指が立つ。
そして今度は向こうの人差し指が開くから俺も人差し指を開く。
今度は敢えて小指。向こうの手も小指が開く。そして中指が開く。こうやって手を繋ぐと何故か心も繋がっている気がして。
開いた手を伸ばすが、それは空を掴んで消える。
俺は夢の世界から現実に引き戻されるが、その時に強めの風が吹く。足がもつれて一人川の中へ落ちた。
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