パーン・パニックス

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パーン・パニックス

ぐらっ……  地面が揺れた気がした。立ち眩みでも起こしたのだろうか。 そう思ったのも束の間、地面は小刻みにゆーらゆーらと縦に揺れていく。 もしかして地震だろうか? 今日の地震は大きいなぁ…… 会社員、如月蓮人(きさらぎ れんと)はそう考えながら、今座っているデスクより天井の蛍光灯を見上げると、蛍光灯はモールス信号のようにチカチカと不規則な光を刻み続けていた。 一秒、二秒、三秒…… どれだけ秒数が経過しても波間流離う船のような揺れは収まらない。 蓮人は「なんか、地震長くないスか?」と、隣に座る同僚に話しかける。 その同僚が「ええ、そうっスね」と返事をしようとした刹那、それは来てしまった。 ドォォォォン!   蓮人がこれまでの人生で初めて聞くような轟音が辺りに響き渡る。 蓮人のいるオフィスビルの窓ガラスが割れていく、先程まで見上げていた蛍光灯も飛散し砕けていく、窓の外からは車と車の衝突音と合わせてクラクションの嵐、オフィスの中も男女のべつ幕無しに聞こえる悲鳴、机の上に乗っている物が尽く床に落ちていった。 ポケットからは聞くだけで恐怖心を覚えるチャイムがスマホより延々と鳴り続ける。
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