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ドォォォォン!
再びの轟音! 本震に勝るとも劣らない程の余震である。それはその場で立っていられない程の大きさ。体育館の中にいる皆に出来るのは地に伏せ、恐怖に震えながら揺れの収まりを待つことのみ。
時にして、十秒にも満たずに揺れは収まった。それと同時に照明が一つ地面へと落ちる。
それにより、体育館中にガラスが砕ける音が響き渡った。
パニックの呼び水である。その音を聞いた皆は思った、この体育館の天井が崩れるのではないかと。そう考えた者達がパニックを起こし、天井がなく安全な外に向かって走っていく。
彼らの中には「おはし」や「おすしも」は存在しない。たった一つの体育館の出口に向かって、皆走るのみ。
それはまるで、風船の弁から勢いよく抜けていく空気そのもの。瞬く間に体育館の出口は黒山の人集りを築くに至ってしまった。
巻き込まれては堪らない。蓮人は暫く見に徹し、人集りが減るまで待とうとしたのだが…… 後方より迫る人の雪崩に呑み込まれて何もせずとも出口まで押し出されてしまう。
すると、誰か一人が転倒し群衆雪崩を起こし人が次々と倒れていく。
それに巻き込まれた蓮人は胸部を圧迫され、外傷性窒息を引き起こし命を失ってしまった。
虎に襲われても生き延びたのに…… 人の雪崩に呑み込まれて死ぬとは…… 蓮人は悔しさの中、天に召されるのであった。
おわり
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