パニック

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「母さん‼︎ 母さん‼︎ 母さん‼︎ 母さん‼︎」 「はい。はい。はい。はい」 「なんで起こして、くれなかったんだよぉ」  ミキトが転がるように、階段を降りて来た。 「起こしましたよ。何回も」 「嘘だぁ」 「本当ですよ。返事してましたよ」 「なんて⁉︎」 「あと5分38秒って」 「何刻んでんだよ」 「知りませんよ。こっちが訊きたいわ」  これから、シャワーを浴びるのか、 リビングでパジャマを脱ぎ出した。 「ヤバ過ぎ、もう10時過ぎてんじゃん。ユカちゃんと、初のデートなのに」  パジャマのズボンに、手を掛けながら焦ってる。  もう高校生なんだから、リビングでパンイチになって、お風呂に行くのも、どうかとは思うけどね。ま、息子のパンイチ見ても母は、なんとも思わないけどね。 「9時半に迎えに行くって言ってたから、何度も起こしたのよ」 「()んだ。ユカちゃん昔っから、待たされるの嫌いだし。絶対怒ってる。般若の顔になってる」  ユカちゃんは、斜め前に住んでる、幼稚園からずっと一緒の同級生。  なにしろ小学生の頃から、密かに好きだったユカちゃんを、口説いて口説いて口説き落として、仲良しの幼馴染から、彼氏に昇格されたばかりだし。
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