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登場人物
・松岡祐二
松岡家の長男。小柄で細面の顔たち、二枚目ではないが女性の母性本能を擽る隠れた魅力もある。
性格はおとなしく温厚そのものだが、好きな女性には積極的。
但し、どんな女性にもやさしすぎる欠点もある。
幼い頃に両親が離別し、実父と継母に育てられるが、極貧生活の中で父の暴力や継子苛めなどに加えて家事労働も強いられる。
働きながら夜間高校に通うも、その傍ら六本木のサパークラブで働く。
その間に多くの女性と関係するも、心から愛する中学時代の小谷野亮子を慕い続ける。
やがて亮子と婚約し小谷野家の養子縁組が決まる。
だが、父の粗暴な行動で破綻する。
亮子と駆け落ちの約束の七夕の前日、まさかの交通事故に遭遇。
記憶を失うとともに肺結核を発症。緊急搬送された外科病院、総合病院、大学病院から長野県の結核サナトリウムへと変転する。
・小谷野亮子(こやのりょうこ)
大農の女系家族の九女の末娘で、野菊のような純朴な心の持ち主。
ただ内面は、女そのものの情念に溢れている。
大柄ではないが、肉感的な美貌の持ち主。
中学生の時に祐二と結ばれる。
相思相愛の関係になるも高校受験失敗で会えなくなる。
だが、3年半後に再び二人の愛は蘇る。
深く愛し合った二人は婚約、婿養子と順調に愛を育むも、裕二の父親の粗暴な行為で破談になってしまう。
二人は駆け落ちを計画するも、愛しい祐二は消息不明となってしまう。
裕二の子を宿していた亮子は、籠の鳥となっても彼が戻ることを固く信じて一人待つのであった。
・石田百合子
松岡裕二と小谷亮子の中学校のクラスメート。
バレーボール部のスポーツ・ウーマンで長身の美人で俊才。
密かに裕二を慕っていた。
大学進学が決まった頃、突然に裕二のアパートを訪ねてその愛を告白する。
・伊藤雪子
諏訪の農家の一人娘で、サナトリウム病院に働く純朴な少女。
祐二の恋人の亮子と、顔も体付きも似ている。
裕二の記憶を呼び戻す切っ掛けになる。
・藤久美子
祐二の小6の同級生で初恋の女性。家が裕福な美人で人気抜群の女の子。
バレエ部の花形マドンナだが、母性愛なのか貧しくひ弱な祐二に魅入られる。
二人は自転車の相乗り通学をするが、その途中の茶畑で結ばれる。
・沢村レミ
元モデルのハーフ美女。背の高い見事なプロモーションの持ち主で、祐二が勤めるサパークラブの人気一番の若きホステス。祐二と正月を共にすごす。
・木村貞子
上野(旧・竹町)のクラブ『蘭』の人気ホステス。
祐二の働くサパークラブに客として現れる。
美人でもない年上の子持ちの貞子に、祐二は魅了される。
・小谷野夏江
祐二が下宿する市川のアパートの50歳代の管理人。
部屋での祐二と亮子の愛欲ぶりを盗み見し、そのお盆の夜に祐二を誘惑する。
母性愛から、裕二にオートバイをプレゼントする。
小谷野家の親戚だが、亮子はそのことを知らない。
・田島洋子
諏訪のサナトリウムの看護師。
祐二と雪子のキスの現場を目撃して、祐二を恫喝して肉体関係を迫る。
・松岡順子(旧姓・田辺)
裕二の継母。
スタイルは八頭身のグラマーな肉体派。
それでいて顔立ちは、瓜実顔の美人。
裕二の父との間に一男・一女を産む。
長年正式に入籍(婚姻)できないことから、継子の裕二を虐待する中で弄ぶ。
・田辺小百合
継母・順子の妹。
裕二の義叔母に当たるが、年の差は9歳しかない若き叔母。
何かと裕二を心配してくれる、やさしい姉のような存在。
だが裕二の父親とは、そりが合わずにやがて疎遠になってしまう。
・松岡庄作
裕二の実父。
短気で粗暴な大男。
明治維新までは武家であったことを誇りにしている。
<武士は食わぬけども、高楊枝>を地で行く傲慢な怠け者。
人に対して頭を下げることができない、我儘で独善的な男。
明治維新では、藩主でもなかった武士は例え家老職であっても、明治時代には皆すべて平民となったもの。
その藩主や貴族ですら、その全てが華族(侯爵、公爵、伯爵、子爵、男爵)にはなれた訳ではない。
つまり、裕二の父親は時代錯誤も甚だしく、封建時代の気質を残していた傲慢な男だった。
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