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「確かに、俺も親父や組員達、家族のことが心配だな。地球に帰れるのかどうかも分からないし」
実家がヤクザさんな保も僕に賛成してくれる。
「僕も御多分に洩れず、家族の安否が気になりますね。ただでさえ不安定な状況で、この先どうなるのか予測不能なのもありますし」
眼鏡を上げて鈴木くんも同じ事を言う。
「私も皆と同じでお父さんとお母さんが心配だけど、でも」
香澄ちゃんは、そこまで言うと、下を向いていた顔を上げた。
「でも、皆が一緒ならきっと乗り越えられると信じているわ」
香澄ちゃんは、「それにもう会えない、帰れないって決まった訳じゃないんだから…」と、ちょっと泣きそうな顔で続けた。
…香澄ちゃんは、やっぱり強いや。
僕の保が好きになっちゃうのも解る。
顔も声も可愛くて守ってあげたくなるのに、心は僕達が守られているみたいだ。
「…そうだな、香澄の言う通りだ。全員で支え合いながら進んでいけば、何とかなるはずだ。家族や地球のことは忘れねーけど、今は共に乗り越えることに集中しようぜ」
保も香澄ちゃんに勇気づけられたみたいだ。
鈴木くんも続ける。
「僕も右に同じくです。お互いに助け合って、この先の未知の世界に向かって進んでいき、いずれは大切な人達との再会と地球への帰還を叶えましょう」
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