山村先輩、危機一髪

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保の声が怖くなった。 でも、それは男の人に向かっての声だと僕にも解る。 でも、男の人は、犬には見えないけどなぁ。 僕がそう思っている間に、男の人はロープを手にした。 「俺は火星に永住するって決めたんだ!火星人達に情報を渡さないと、どっちにしろ、始末されるんだよ!」 男の人はそう叫びながら、ロープを保に向かってムチみたいに振り上げた。 保、危ない…! 僕は思わず目をつぶって下を向いた。 だから、僕は見ていなかったけど、保は打撃はせずに、足はフットワークに、片手はガードに徹して男の人に接近した。 男の人のロープが保にガードされた直後、保が男の人との間合いを詰めて、直ぐ近くにまで接近した。 「いってーな…。だが、これで終わりだ」 保は男の人のおでこに、もう片方の手で持っていた鉄砲(火薬銃)を当てて、躊躇う事なく引き金を引いた。 大きな音がした。 僕がビックリして、思わず目を開けて顔を上げると、男の人は倒れていた。 保は鉄砲をしまうと、男の人が持っていたロープを手に取って、何故か男の人の身体を縛った。 「保…殺しちゃったの…?」 「んな訳ねーだろ。空砲だよ。ショックで気絶しただけだ」 何だ…。 安心した途端に僕の目からは涙が出てきた。
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