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保がしゃがんで優しく、僕を縛ったロープをほどいてくれる。
「だ、だもづー!怖かったよう!!」
身体が自由になった途端、僕は保に抱きついた。
いつもなら引き剥がす保も、僕を優しく抱きしめ返してくれる。
僕は保の胸の中で泣きじゃくった。
「侵入者を許したのは、俺等、セキュリティプロジェクトチームの管理ミスだ。悪かったな。何か変なこと、されてねーな?」
保の優しい声。
保の言う『変なこと』の意味は、僕にはよくわかんなかったけど、僕は嗚咽を洩らしながら大きく首をカクカク縦に振った。
保は僕の背中を優しくさすった。
「なら、良かった…。あんたは、俺みたいな目に遭うなよ」
「保ー…??」
「…立てるか?」
「ううん。おんぶか抱っこしてー」
「たってなあ。コイツをセキュリティ本部まで連れて行かなきゃならねーし」
男の人は保に縛られて気を失ったままだった。
でも生きている以上は色々話を聞いて、火星人さん達への対策を立てなきゃいけないみたいだ。
その時、保の片手が腫れているのに僕は気付いた。
「保、手…」
「あ?…ああ、コイツのロープをガードしたからだろ。それよりチームから応援を呼ぶ。山村、ちと離すぞ」
保が離れる寂しさ。
僕が傷心してるのをわかってくれたのか、保は自分のチームメンバーさんと香澄ちゃんに連絡を取って、男の人を応援に来た人達に引き渡した。
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