9人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
保は早く忘れた方が良いって言ってくれたけど、僕は香澄ちゃんにも話して楽になりたかった。
「保が助けてくれたんだけどね…」
僕はそう言って、何があったか話し始めた。
「今日は、僕のプロジェクトは、休みの日なんだ。だから1人で基地を探検してたら…」
そこまで言ったら、あの男の人の大きな手の感触を思い出して、僕の目から涙がこぼれ落ちた。
「山村先輩?!ごめんね、私が話を訊こうとしたから…」
香澄ちゃんはビックリした様子でハンカチを差し出してくれた。
僕は受け取ったハンカチで涙を拭きながら、ブルブルと首を大きく横に振った。
「ゔゔん、僕が話を聞いてもらいたいんだ…」
僕はそう言って続きを話しだした。
「後ろからいきなり男の人に口を塞がれて、そのまま抱えられて誰もいない部屋に連れてかれて、身体をロープで縛られて…」
そこまで言うと香澄ちゃんは息を呑んだ。
僕、女の子に何て話してるんだろう…。
そう思っても僕は話を止められなかった。
「何か難しい事言われて…応えられなかったら、男の人が痛い目に遭わせるみたいなことを言っていて、そしたら保が来てくれたんだ…」
「良かった…千夜くんが間に合って…」
ホッとしたように胸を撫で下ろす香澄ちゃん。
でも僕は香澄ちゃんなら知ってるかと思って、気になる事を訊いてみた。
最初のコメントを投稿しよう!