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部屋には僕と鈴木くんだけになる。
鈴木くんは、疲れたように椅子に座った。
「千夜くんの言っていたことは図星です。ですが早急に手立てを考じないと手遅れになってからでは遅いのも確かですのに…」
僕は涙をゴシゴシ袖で拭くと鈴木くんの隣の椅子にちょこんと飛び乗って座った。
「保ならわかっていると思うよう?きっとリーダーさんの所に行ったんじゃないかなぁ。だから鈴木くん、早く保と仲直りしてね?」
「山村先輩…」
鈴木くんは僕を抱きしめようとして止めたんだけど、僕はその事に気付かなかった。
「それに鈴木くんの気持ちは嬉しかったよう。僕の為にあそこまで怒ってくれて…。鈴木くんがああ言わなかったら、保も動かなかったんじゃないかなぁ」
「山村先輩…好きです」
「僕も鈴木くんや、皆のことは大好きだよう!」
僕は笑顔でそう応えたけど、鈴木くんは首を横に振った。
「…違います。僕の好きは、山村先輩が千夜くんを好きなのと同じように好きなんです…」
「ええっ?!!」
鈴木くんは真面目な顔をして僕を真っ直ぐに見詰めている。
その眼鏡に僕のビックリした顔が反射して映っている。
鈴木くんの勇気ある告白。
だから、僕も逃げないで真面目に応えなきゃ!
「鈴木くんの気持ちは嬉しいけど、僕はやっぱり保の事が好きなんだ…。でも…僕には保の心が見えない…」
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