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仲直り
保の戸惑うような声に、鈴木くんは立ち上がると笑顔で首を縦に振った。
「鈴木…さっきは悪かった。山村が止めに入らなかったら俺はあんたを殴っていたかもしれねー」
「千夜くん…僕も大人げ無かったです。千夜くんの言った事は図星です。僕は山村先輩を贔屓目に見て、公平さを失っていました。申し訳ありません…」
頭を下げる鈴木くんに保は続けた。
「チームリーダーに話をつけてきた。今頃、セキュリティ室では、モニターの見直しをしている筈だ」
「ほらね、僕が言った通りだったでしょー?」
僕が椅子の背もたれにしがみつきながら、鈴木くんを見上げて言う。
鈴木くんは頭を上げた。
「千夜くん…」
「鈴木…それに山村。これからも地球の帰還を目指して力を合わせよーぜ」
保はそう言うと鈴木くんの手を取った。
鈴木くんも保の手を握り返す。
仲直りの印の固い握手。
僕は仲間に入りたくなった。
「僕もー♪」
僕は椅子の上から2人の手を包むように両手を添えた。
その時、ドアの所から聞いたことの有る声が聞こえた。
「何があったか知らないけど、力を合わせるなら私も入れてくれない?」
香澄ちゃんが植物から作った野菜たっぷりの食事を博士と一緒に持って来ていた。
そういえば、お腹が空いている事、すっかり忘れてた!
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