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まだお腹の小さな香澄ちゃんが保の腕を組んで、ニッコリと、でも目が据わったまま僕を睨んだ。
…ハッキリ言って怖い。
僕は思わず保から離れた。
「山村先輩、どうしました?」
鈴木くんが不思議そうに僕の顔を覗き込むけど、本当のことを言ったら、香澄ちゃん怒るよね…。
今でも、もう怒っているのに。
「う、ううん!何でもないよう?!」
博士が咳払いを1つして続ける。
「えー、それで大人になったキミ達にも火星での研究開発促進の為の改善プロジェクトに参加してもらうことにした。各々のプロジェクトで、キミ達の長所を遺憾無く発揮してもらいたい」
僕達は博士の言葉に気を引き締めた。
「それでは、参加してもらうプロジェクトを発表する。先ず、山村くん」
いきなり名前を呼ばれて、僕は背筋を伸ばした。
「は、はい!」
「キミの明るさと積極的な姿勢は場を和ませる。そんなキミには、コミュニケーション改善プロジェクトに参加してもらい、火星探査チームの結束力を強化してもらう為に、チームワークを円滑にしてもらいたい」
…よくわかんないけど、皆が仲良しになれるようにすれば良いのかな?
「解りましたー!」
やっぱり皆、仲良い方が良いもんね!
僕の胸は踊った。
「次に鈴木くん。キミの知恵と知識量には感心させられた。キミには環境改善プロジェクトに参加してもらい、火星の大気圧や温度を上げて、皆がより快適に暮らせる環境を作るための取り組みを行ってもらいたい。それを地球でも応用出来るかの研究もまかせる。半永久的な水資源の確保の探査チームにも入ってくれたら助かるよ」
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