ライター

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 土曜日のために必死に仕事をこなし、約束の日の当日。時間通りにその場に向かうと井瀬が待っていた。 「やぁ、キミ」 「あ、おはようございます」 「強いて言うなら、こんにちはかな? 今日は此処近辺のグルメを食べてレポートを書く。よろしく頼むよ」  手首を掴まれ「ほら、早く」とはしゃぐ子供のように井瀬は楽しそうで、僕は戸惑い引っ張られるがまま足が動く。  最初は駅周辺の店。純喫茶に入ろうか、と言っていたが“お手軽で楽しく食べるというコンセプト”があるようで、井瀬のレポート範囲には入らないらしい。 「此処は素敵だけどパス」  次はショッピング施設の名前のついた通りにあるゲームセンター横のタピオカ屋。それに関しては喉が渇いたからと黒糖ミルクタピオカを頼み、井瀬は一人飲みも慣れない都会にソワソワしている僕を見て「はい、どうぞ」と一つしか買ってないのに残った半分を譲り受ける。  黒糖の甘さとタピオカのモチモチ感。濃厚な牛乳で甘さが強く感じたが控えめで飲みやすい。どうやら氷少なめにしていたようで、残ったタピオカも救出。 「これ、すごく甘そうで飲みやすい。いいですね」 「じゃあ、此処は候補一つってことで」  井瀬はお店に撮影していいか商談しに行き、その間に僕はゲームセンターで過し遊ぶ。
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