<1>心理カウンセラーの町田園子、ポン太と汚部屋で再会。

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 名前はポン太。友達がウサギやクマの縫いぐるみを抱きしめているのを見て、私はみんなとは違う動物の縫いぐるみが欲しいって思ったんだ。お父さんもお母さんも、みんなと同じようなかわいい縫いぐるみを薦めたけど、おじさんだけは「タヌキもいいじゃないか。町田家は変わり者の集まりだからな」って笑ってたっけ。  あのころのおじさんは、今の私と同じくらいの年齢だったのに、すごく老けて見えたなあ。  ごほっとせき込み、その弾みで肺の辺りが、ぎゅうっと引き絞られるみたいに痛んだ。  息をしようとしても咳が次々にこみ上げてくる。 「園子!ほれ、シクレソニドを吸引するのじゃ!」  ポン太、薬にも詳しいじゃん。  そういえば入院するときに一緒に連れて行こうとしたら、看護師さんに怒られたんだった。ぜんそくの子どもは縫いぐるみ厳禁ですって。  あのとき、泣いたなあ。ポン太と一緒じゃなかったら死んでもいいとか言っちゃってさ。  あれ?そのとき以来、ポン太は私の前からいなくなってて、お母さんもお父さんも何も言ってなかったっけ。私もそれほどポン太を恋い慕うってこともなかったか。  何か子どもって薄情だよね。ごめん、ポン太。
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