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行ったのは、十分くらい歩いたとこにある甘味の店。
前に一度一緒に来たことがある。
「何する?奏人さん、前にここのあんみつ食べて美味しいって言ってたよな」
「そうだね。じゃあ、またそれにしようかな」
「俺は……抹茶クリームあんみつと、腹減ったから磯部餅。すいません」
頼んだものが来ると、奏人さんは微笑ましそうにテーブルの上を眺める。
「見てたら溶ける。ってあんたのはアイスは載ってないのか」
「ああ。でも冷たいうちに頂こう」
黒蜜を掛けて、匙ですくって。
奏人さんは口に入れると、しばらく味わう。
「……美味しい?」
「……うん。美味しいよ。甘いけど、甘過ぎなくて」
ふわりと、花が綻ぶみたいに笑う。
「そっか。良かった。……あ、俺の抹茶アイスも食べてみる?」
無意識に掬って差し出して、あ、これ『あーん』ってやつじゃ……って思ってると、奏人さんは不思議そうな顔する。
「あ、その……嫌じゃなければ、いいよ。このまま」
「ありがとう」
俺の差し出した匙に、品良く手を添えて口に入れるとゆっくり頷く。
「美味しい」
「……ん。あ、ここ磯部餅も美味しいから、食べられたら食べて」
「ああ。頂くよ」
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