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いつからそこにあったのか、スマホが枕元で鳴る音で目が覚めた。
着信……葛城奏人。
「……ふぁい」
「匠海?今どこだい」
「へ?どこって……」
「出張。今日帰れるからって昨日電話しただろう。東京駅に着いて連絡したんだけど、早番って言ってた割に電話にも出ないし何も返信がないから。何かあったのかと思って」
「――――ちなみに、奏人さんは今……」
「家だよ」
がば、とベッドに体起こすと、部屋の中には俺しか居なかった。
自分は素っ裸で明らか事後の感覚があって、でも知らない間にちゃんと布団掛けられて眠っていた。
「もしもし?匠海?何か――――」
「……だい、じょうぶ。……ちょっと暑くて気分悪くなって、家帰って寝てた」
はぁ、と溜息つくのが聞こえる。
「家に居るなら良かったけど、心配したよ」
「……ごめん」
俺の他に誰も居ない部屋を見てると涙が出て来て
「……じゃあ、心配かけてごめん。まだちょっと気分悪いから寝るけど、また」
「ああ、いいよ。無理しないで大事にするんだよ。お休み」
「……ん。……お休み」
電話を切ると、ぼろぼろ涙がこぼれてシーツに水玉模様を作った。
「……あ……」
息が苦しい。
なぜか悲しくて悲しくて体中の水分が抜け出るんじゃないかと思ったけど、でも怖いとか、あれは何だったんだって気持ちにはならなかった。
だから余計に苦しかったのかもしれない。
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