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健康なローマンと不健康なアメローナが出会うきっかけは......。
ロードアイラン公爵が号外として出した『頼み事』からだった。
『娘のアメローナは21歳になっても社交界に出られず困っている。
病弱な彼女の身体には、薬や手術ではなく健康な食べ物が必要と、
ついに東の医師が解明した。
階級に関係なく特別で健康な食べ物を提供して欲しい。
効果が得られた場合は壮大な望みを叶えよう』
というものだ。
「特別な健康に良い食べ物かあ。新鮮な野菜とか狩りたての肉とか、
そういうのではダメなんだろうか?」
庭園のカフェテラスでブラックコーヒーを飲みながら、ローマンは
号外を読んでいる。
そこへ妖精のセマニが朝食を運んできた。
「ローマン様、たまには御家族と食卓で召し上がってくださいな。
私たちが叱られます。それにコーヒーは、おやめください。
そうでなくても眠らないのに、もっと寝なくなってしまいます」
最もよく喋る妖精に言われながらも、ローマンは二杯目のコーヒーを
カップへと注いでいた。
セマニは金髪のポニーテールを弾ませながら頬を膨らませて拗ねた。
妖精は小柄で背中に羽根があって飛び回っている。
衣装がきらびやかで、貴族に仕えるには絵になっていた。
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