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ローマンは朝食を取りながら改めてアメローナのことを考える。
「通常の食材では無理ってことは......なにがいいのだろうか」
庭園には季節に関係なく花々が咲いて小鳥が歌い、蝶が舞う。
それは妖精の性質からだ。
貴族としての仕事や社交の付き合い以外では、ここでくつろげる。
ときに旅にも出かけるローマンは、アメローナを気の毒に思えていた。
16歳で社交デビューしたときに出席していて、彼女を間近で見たから
というのもある。
そのときでローマンは13歳、年上のアメローナは大人びてみえた。
「セマニだけでなく妖精は可愛い。人の姿をしている精霊たちも綺麗だ。
けれどね、あのときに一度だけ見たアメローナ嬢ほどの美しい人に、
僕はまだ出会ったことがないよ。その人がいまでは病気が進行......。
元の美しさも取り戻して欲しいし、僕のように元気になれたらいいのに」
「ローマン様のようには、誰でもなれるものではありません。
ですが特別とおっしゃるのなら、その朝食は特別ですよ」
純白のニワトリの姿をした精霊のフリッズが、止まり木の上で言った。
尾が一メートルくらいは長く、気品のある声の雌の鳥だ。
基本的に精霊は成人男女の姿なので、生き物の精霊は異例中の異例だった。
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