真逆な2人

4/6
前へ
/21ページ
次へ
ローマンは朝食を取りながら改めてアメローナのことを考える。 「通常の食材では無理ってことは......なにがいいのだろうか」 庭園には季節に関係なく花々が咲いて小鳥が歌い、蝶が舞う。 それは妖精の性質からだ。 貴族としての仕事や社交の付き合い以外では、ここでくつろげる。 ときに旅にも出かけるローマンは、アメローナを気の毒に思えていた。 16歳で社交デビューしたときに出席していて、彼女を間近で見たから というのもある。 そのときでローマンは13歳、年上のアメローナは大人びてみえた。 「セマニだけでなく妖精は可愛い。人の姿をしている精霊たちも綺麗だ。 けれどね、あのときに一度だけ見たアメローナ嬢ほどの美しい人に、 僕はまだ出会ったことがないよ。その人がいまでは病気が進行......。 元の美しさも取り戻して欲しいし、僕のように元気になれたらいいのに」 「ローマン様のようには、誰でもなれるものではありません。 ですが特別とおっしゃるのなら、その朝食は特別ですよ」 純白のニワトリの姿をした精霊のフリッズが、止まり木の上で言った。 尾が一メートルくらいは長く、気品のある声の雌の鳥だ。 基本的に精霊は成人男女の姿なので、生き物の精霊は異例中の異例だった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加