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「フリッズ、なに?確かにいつもよりおいしかったけど」
ローマンの食べた朝食の皿と、飲み干したコーヒーカップをセマニが
片づけていく。
妖精の転送魔法によってキッチンへと届く仕組みだ。
「ワタクシの生んだ卵のサンドイッチでしたのよ。
この庭園に住むようになってから身体の調子が良くなって、
ついに一日に二個、卵を生めるようになりました。
それには特別な栄養があります。ローマン様、身体が軽い筈です」
フリッズに言われて改めて気が付いた。
「あっ、軽い、軽いぞ、空も飛べそうだ!」
「飛べません」
「飛べないのかあ」
「それはともかく。卵はもう一個ありますわよ。
病弱というアメローナ様には、卵スープがよろしいかと」
「でも卵ってことは孵化もできるってことだよね。
フリッズ、それを食べてしまってもいいのかい?」
「うふふふっ、ご心配なく。これは孵化する卵ではないのですよ。
ワタクシの体内の栄養素から生み出している、食用なのです」
確かにフリッズは通常の鳥のようには生んでいない。
普段の倍の速さで羽ばたくと光の粒子が集まり白い卵になるのだ。
もちろんこれは早朝のみ、一日に一回しかできないことだった。
「そうか、なら、ぜひとも!
生みたてが良い筈だ、すぐに届けさせよう!」
ロードアイラン家に電話をして説明してから、妖精の転送魔法で
フリッズの卵を届けた。
ローマンが早起きし過ぎていたので、あちらでは朝食の準備を始めた
ところで、卵はアメローナの朝食の卵スープになった。
こうして号外を出してから一番最初に届けたのがローマンとなれたのだ。
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