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それからというもの、フリッズの生む卵はアメローナの朝食になった。
階級が低いとはいえ、生き物の精霊の卵は貴重な品なのに、ローマンは
無料で提供してくれた。
一日目、黒髪の艶が戻った。
二日目、痩せこけていた頬に潤いがついた。
三日目、ベッドから起きていられる時間が長くなった。
四日目、立って歩くときふらつかなくなった。
五日目、二年ぶりにスキップをした。
六日目、布やスカーフ無しで過ごせた。
七日目、ドレスを着て屋敷の庭に出た。
完全たる卵の効き目であると、ロードアイラン公爵は認めた。
そしてローマンには『壮大な望み』が、与えられることになった。
「壮大な望みとは、我が家の財力で成しえることだ。
その範囲で申すがよい」
貴族たちを集めた食事会でロードアイラン公爵に言われて。
椅子から立ち上がり、ローマンは迷いなく言った。
「僕は貴族としての生活を捨てて精霊と妖精と共に過ごしたい!」
盛大な拍手をしようとした人々は硬直してしまった。
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