真逆な2人

6/6
前へ
/21ページ
次へ
それからというもの、フリッズの生む卵はアメローナの朝食になった。 階級が低いとはいえ、生き物の精霊の卵は貴重な品なのに、ローマンは 無料で提供してくれた。 一日目、黒髪の艶が戻った。 二日目、痩せこけていた頬に潤いがついた。 三日目、ベッドから起きていられる時間が長くなった。 四日目、立って歩くときふらつかなくなった。 五日目、二年ぶりにスキップをした。 六日目、布やスカーフ無しで過ごせた。 七日目、ドレスを着て屋敷の庭に出た。 完全たる卵の効き目であると、ロードアイラン公爵は認めた。 そしてローマンには『壮大な望み』が、与えられることになった。 「壮大な望みとは、我が家の財力で成しえることだ。 その範囲で申すがよい」 貴族たちを集めた食事会でロードアイラン公爵に言われて。 椅子から立ち上がり、ローマンは迷いなく言った。 「僕は貴族としての生活を捨てて精霊と妖精と共に過ごしたい!」 盛大な拍手をしようとした人々は硬直してしまった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加