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フリッズからの卵は、変わらず毎日、送られ続けていた。
アメローナは特に卵スープが好きで、毎日、食している。
もちろん卵だけでは完全回復できなかったが、1日を過ごすには
充分な栄養をもらえていた。
しかしアメローナは、まだ正装できる身体ではなかった。
だからローマンの功績が認められて食事会が開かれたときにも出席が
できず、そっとドア越しに覗き込んだだけだった。
「僕の精霊や妖精を好きな趣味が役に立って良かったです」
そう言って笑っていたローマンを美しく感じ取れた。
豊かな大地のような栗色の髪で、豊かな草原のような緑の瞳だった。
アメローナはローマンの健康美と自由度を含めて魅入られた。
「本当にありがとうございます。
あの、ノーマン様は、どうして精霊や妖精が、お好きなのですか?」
アメローナの母が聞いた。
「この世界の人々は自由に生きている。
だけど、ときに精霊や妖精たちは人の影響を良くも悪くも受けている。
そういう者たちを助けて、世界のバランスを取りたくなるのです」
その誠実な心にもアメローナの心は震えた。
この人は、ただの奇行だけではないのだ。
いや、自身には自覚のないまま正義感を出しているのだ。
彼のそばにいたい。
縁談は無理なのだろうか?男性が年下であっても、この国では問題なく
結婚できた筈だ。
これは国によって違う場合もあるから、ローマンが国にいるあいだに
決まって欲しい。
両親に頼んでみたい。
そこまで思っていたのに、ローマンは『貴族をやめる』ことを
今回の望みにしてしまった。
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