Rivalry

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 庵野兄弟は、今日もモニターと睨めっこして夜明けまで本庁から一歩も出ていない。  サイバー対策自体は、化かし合いの頭脳戦だ。能力差がモロに出るばかりか、些細な異変に気がつかなければあっという間に全滅する。  日々セキュリティー突破を楽しむ輩が、しのぎを削って犯罪に手を染める。  そんな中、現代の犯罪界のナポレオンは、今やっと尻尾を掴もうとしている"James"。庵野兄弟が、寝ずに追いかけ続けている大物だ。  どうも黒岩警視正とは、何らかの因縁がありそうだが確証は掴めていない。それでも、Jamesが日本人である可能性が非常に高くなってきた。それが、桃源郷の差し出してきた資料の分析結果から読み取れた。  大木茂は、庵野兄弟と並ぶ将来を嘱望された天才的プログラマーのひとりだった。  その大木を手玉にとる"James"は、彼らの遥か上を行く能力の持ち主と考えるのが自然だ。  負けてたまるか!  庵野兄弟は、恐れながらも興奮していたのだった。必ず勝ってこいつを捕まえてやる!と。
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