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Morocco
あっという間にこんがり焼け跡がつきそうな、灼熱の太陽。見渡す限り、何もない砂漠。
ラクダに揺られながら、男はパソコンを操作していた。
「こんなところで、在宅ワークができるんだからチョロい世の中になったもんだ。なぁ、相棒!」
相棒は、うんともすんとも返事をしない。ただひたすら、男を背負って歩いているだけだ。
乗り物としては、シートは硬いし意外に揺れる。馬よりもでかい。だが、存外賢い。何より無口なのが気に入っている。
「では相棒、そろそろ世界をデリートしようじゃないか。」
そう愉しげに言うと、男はリターンキーを軽やかに押した。
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