Japan

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SolarWinds社への攻撃を皮切りに、Colonial Pipeline社へのランサムウェア攻撃などサイバー攻撃が相次いだ。 MFAを含むゼロトラストアーキテクチャを米国の国家機関で必須とする大統領令を発令したのも記憶に新しい。 我が国でも政府がサイバー攻撃の脅威の増大に警鐘を鳴らし、国家関与の疑われる事案として国家支援型の攻撃からサイバー空間の安全を守るための国際連携強化も進んでいる。  MFAとは、Multi-Factor Authentication (多要素認証)。本人確認のための要素を複数、ユーザーに要求する認証方式で、アクセス制限サービスを提供する組織にはアラート機能やパスワード以上の認証レベルを必須とする。さらにエンドユーザーとなる側はゼロトラストMFAを利用するといった対策が求められるようになった。  「ゼロトラスト」とは、Trust(信頼)が Zero(ゼロ)。つまり「何に対しても信頼を与えない」という前提に立った、セキュリティ対策の事。昨今の DX 化やリモートワークの拡大などで、クラウドサービスの利用が増加し、内と外という境界線の線引きが機能しなくなっている中で、内部不正による情報漏えいのリスクも増え「ゼロトラスト」な様々なシステムを駆使したセキュリティー対策の強化が急務なのだ。  具体的には、MFAやID セキュリティ、CASB といった複数のシステムを組み合わせて、強固なセキュリティ対策を実現する事…。  そうした前方スクリーンに映し出されるスライドは、参加警官の眠りを深くしていくだけだった。  「聞いてるんですか?あなた達!!」  「お兄様、馬鹿に本気になっても時間の無駄です。皆さん!今日の講義はこれで終わりです。」  ハンプティー・ダンプティーと密かにあだ名を付けられている、警視庁生活安全部サイバー犯罪対策課の名物双子の庵野兄弟の担当講習会が、結局講師の二人が真っ赤な顔でぶち切れた為終了となった。  課長も呆れていたが、お前達担当の二人がわかってりゃ良いだろう的に、講習会やったぞという事実が成立したのであっさり解散となった。
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