黒猫クロと幸せのベル

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 妖精はぐっすり眠っていて、暗闇と黒い体が一体化したクロにまったく気づきません。  クロの前足がベルに届きました。  ゆっくりとベルを自分の方に動かします。  あと少しでベルをくわえられるというときに、うっかり切り株からベルを落としてしまいました。  地面につく寸前で、カメレオンが長い舌でベルをキャッチしましたが、振動でチリンと音が鳴ってしまいました。 「う~ん、なに?」  妖精が目を覚ましたようです。  クロがカメレオンからベルを受け取り、口にくわえて走り出しました。  カメレオンがクロの背中に乗って、妖精の状況を教えてくれます。 「急げ! 追いかけてくるぞ!」 「ああ! ベルがない! あっ、こら! ベルを返しなさ~い!」  焦った様子の妖精の声が聞こえましたが、クロは後ろを振り向かず、前だけ見て必死で村を目指しました。 721d5d10-afea-4e6e-9308-1a016efd7de3
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