黒猫クロと幸せのベル

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「ハンナ?」 「うん! クロ!」 「ハンナ……大好き。ずっと離れない。ずっと大好き」 「うん、うん! 私もずっと大好きよ。ずっと離さない!」  クロはハンナの鼻をペロッとなめました。 「アタシ、猫ってバカにしてたけどあんたは別。だって、このアタシからベルを取り返したんだもん。勇気ある子は好きよ。オンリーワンの黒猫ってカッコいいしね! あんたの友達になってあげてもいいわ」  妖精がクロとハンナの仲の良い様子を見て言いました。  クロは照れくさそうにしながらも、心の中が満たされるのを感じていました。 「ハンナ、僕、初めて自分の黒い毛が好きになったよ」 「もっと自信を持っていいのよ、クロ。さあ、妖精さんのために暗いうちにお祭りを始めましょう。あ、おじいちゃん!」  ハンナのそばに村長のおじいちゃんがきていました。 「話は聞こえていたよ。お疲れさま、クロ。おまえのおかげで伝統の祭りが始められる。みんな! 聞いてくれ!」  村長が村人たちに呼びかけました。 「この黒猫のクロは、村の大切な友情のベルを探しだしてくれた勇気ある猫です。そして、妖精とカメレオンという新たな友達も連れてきてくれました。友情をつなぐ猫でもあります。みんなでクロをたたえましょう!」  村人たちは驚きと喜びの表情を浮かべ、クロに拍手を送りました。  ハンナはクロをぎゅっと抱きしめ、「あなたは本当に特別な存在よ」と耳元で(ささや)きました。  この後、妖精とカメレオンもクロと一緒にお祭りを楽しみ、村の川に灯籠を流しました。この日のお祭りは、いつも以上に幸せな笑い声で満ちあふれていました。 efc589db-3c25-4aab-9294-f6b3dca81aa2
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