21人が本棚に入れています
本棚に追加
振り返って、村の入り口を眺めました。
僕がいなくなったらハンナが心配するかも……とクロは思いましたが、立ち止まっているうちに、ベルの音はどんどん遠くなっていきました。
クロは、ベルを見つけて早く帰ろう! と心に決めてベルの音を追いかけました。
あっという間に、あたりは真っ暗になりました。ベルの音を頼りに追いかけていたクロですが、音が聞こえなくなってしまい、森の中をさまよっていました。こんな暗い森をひとりで歩くのは初めてで、クロはだんだんと心細くなってしまいました。
ハンナに会いたいな……。
クロはハンナの顔を思い浮かべました。
独りぼっちの寂しさと、このままじゃベルを見つけられないかも……と不安な気持ちのクロの目に、ぽつりぽつりと白い光が見えました。兄弟の白猫たちもベルを探しにきたようです。みんなの様子を草むらから眺めていると、大きな切り株の上に、妖精がいるのを見つけました。
最初のコメントを投稿しよう!