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6.
[3番出口→]の表示に従い歩いているがいっこうに[9番出口→]の表示は現れず歩いても、歩いても地下通路は無機質なタイルに意味不明な広告が貼られた情景が続くだけで、さっき天井から降って来た蒼白い顔をした老人は果たして何処に行ったのか?
すると地下通路に突風が吹き荒れよろめく僕はその突風を全身に浴びた。なんか寒気がし身体が震える。6月末であり初夏であるのに凍えそうだった。
「大丈夫?家に帰るの?僕も帰るけど出口が見つからないんだ?この通路を通っているけど寒くて、寒くて…」
突然[3番出口→]案内板横に子供が佇んでいた。
その子供は小学3、4年?ぐらいであり、突然現れ僕に話しかけた。
僕はその子供に話しかけようとしたが話すことが出来なかった?
「どうしてだろう?」と心の中で呟くと僕はその子供をもう一度見た。「え、あの時の友達?」するとモノクロ映像が目の前に現れた。
そのモノクロ映像は足元だけで音は「ピシャ…ピシャ….ピシャ…ピシャ…」と聞こえていた。
しかし、その音は聞き覚えがあり水溜りを歩き、水しぶきが跳ねる音であった。音は継続的に聞こえるのではなく断片的で「ピシャ…ピシャ…ピシャ…ピシャ…」の音がして懐かしく僕の心に染み渡っていた。
そして、モノクロ映像は足元から水溜りで遊ぶ僕と友達の姿にズームされそれは確か小学3年の時だった。
しかし、楽しいはずの僕と友達の水遊びは悲劇に変わった。それは突然の豪雨によって友達は行方不明になったからだ。
僕と友達は傘を差し水溜りを踏みしめ遊んでいた。
「ピシャ…ピシャ…ピシャ…」「楽しいねぇ…」水溜りの雨水が足にかかり、着ている服にもかかり雨は徐々に激しさ増し、いつしか豪雨になっていた。
地面は豪雨によって水溜りは無くなり足の脛まで雨水は増していた。
「あれ何?」友達が指差した場所は渦巻きになっていた。
「近寄らない方が良いよ」僕が友達にそう言うと「大丈夫だよ!」と言って友達は地面にある渦巻きに近付いていった。
すると「ウワッー」友達は脚を取られその渦巻きの中に吸い込まれた。
その渦巻きは豪雨による大量の雨水を逃すため誰かがマンホールの蓋を開けていたのだ。
その後マンホールに吸い込まれた友達は捜査されたが見つかること無く行方不明のままであった。
僕が友達の顔を見て「何で今君が?」とやっとの思いで話しかけると、その言葉と共に友達は微笑み消えたのであった。「あ、何どうしたの?」
何が起きているのか理解出来ず気が動転していた。
それでも僕は地下通路9番出口を探し地上に上がり家に帰ることを考えていた。
「いったいどうなっているんだ!
9番出口はどこにあるんだ?
え、え![3番出口→]また戻ってきたのかよ?」
僕は同じところをただぐるぐる回っているのだとやっと気が付いたのであった。
僕は焦りからパニックをまたしても起こしていた。
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