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7.
ここは本当に地下通路なのだろうか?これだけ歩き回っても地上に上がる出口が見つからない。初めからこの地下通路には出口など存在しないのではないか?
もう僕には希望は無く絶望だけが心を支配していた。
「僕ちゃん、お母さん…ダメよそんな気持ちではどんな事があっても希望を持たないと、そうでしょ僕ちゃんの夢はゲームクリエーターになることでしょ?」
「え、母さん?」
その声は母親の声であった。母親は僕のことを僕ちゃんと呼んでいた。母親は去年肺がんで死んだのであった。
「諦めちゃあダメ…僕ちゃんは生きてるんだから!」
僕の脳裏に母親の言葉が聴こえて来た。すると。
「カッン、カッン、靴の音?」
無機質なタイル張りの地下通路前方からヒールを履いて歩くような甲高い靴の音が響き渡っていた。
「気味悪いなぁ?」
嫌な予感がした?ヒールの音が近づいてくる「誰かがくる?逃げないと!」と呟くと突然、僕の背後に水玉のワンピースを着た女が立っていた。
「ウォー!」僕は驚き大声をあげた。
その女は髪が長く毛先から雫が流れ落ちていた。
髪が長いため目は見えず大きな口だけが分かり、口を開け僕を見てニャリと笑った。
「殺される?」僕は殺意を感じた。
水玉のワンピースを着た女の息は血生臭く、笑った口元から血液が滴り落ちていた。
そして、その女の背後には何体もの人が規則正しく立ち尽くしていた。
「いったいこれは?」何体もの人は水玉のワンピースを着た女に襲われたのか?頭部から大量に血液のようなものが溢れ出ていた?
僕は何が起きているのか理解出来ずパニックに陥り這いずるように逃げ惑ってた。
「なんなんだ!」振り返ると巨大化した水玉のワンピースを着た女が両手を広げ俺に向かって来ていた。
「ハァ!ハァ!ハァ!女は?女は?」
気が付くと地下通路[3番出口→]案内板前に僕は横たわっていた。
「助かったのか?いったいあの女は?うわーっ」すると僕の回りに何体もの人が横たわっていた。
その何体もの人は地下通路全てを埋め尽くしていた。
「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」何体もの人の身体を僕は揺すり確認したが応答無しだ。
「死んでいるようだ?え〜え!」僕は驚愕したそれは何体もの人の頭が大きく割れていたからだ。
「さっきのあの人たち?」
夢では無かったのか?やはり水玉のワンピースを着た女は存在していた?あの女は殺人鬼だったのか?
そんな状況であったが僕は何体もの人が横たわる脇を通り過ぎ9番出口に向かい歩き続けた。
いつになったら9番出口に辿り着き地上に上がることができるのか?「あの何体もの人はどうしてこの地下通路に集まっていたのか?」
そんな事を考えていた僕の脳裏に描かれたのは雨が降りが続く地上の情景であった。
地上の情景は激しい雨がゲリラ豪雨となり都心を襲った。
そして、ライフラインが寸断され商業地、住宅地など街は水没し人々はパニックに堕ちいっていた。
もう既に多くの人が水害によって死んでいた。
僕の脳裏に描かれた情景は真実なのか?
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