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弦田は貰えるものは貰っておこうと心を決めた。
「じゃあ、フサフサのほうで!」
「ファイナルアンサー?」
「ファ、ファイナルアンサー…」
精霊は弦田の瞳の奥をじっと見つめている。何でもお見通しという目だ。一方、弦田のほうは精霊とは言え、美人に見つめられてドキドキしていた。心拍数の上昇が止まらない。
興奮がピークに達すると、ようやく精霊の口が動く。
「正解!」
「ふぅ〜、そもそも正解も何もないと思うけど…」
「それではあなたにこのフサフサのシャンプーを差し上げます。私のシャンプーを使えば、きっとあなたの進むべき道が開けるでしょう」
「進むべき道…?」
弦田は手にシャンプーを受取った。じっくり見るとボトルの表面に精霊のイラストが書かれていた。イラストの精霊は笑顔で頭の脇に手をやり、ピースしていた。
ブクブクブク。再び、天然ガスが湧き出したかのように激しく水面に泡が立った。そして、精霊はお湯の中に潜っていく。
「では、ごきげんよう」
「じゃあ…」
しばらくして泡が消えると、浴槽の中に精霊はいなかった。
「ん? 硫黄の香り、まさかこの泡って精霊の…?」
幸いにも弦田は深いことは考えないタイプ。そして、前向きな性格の持ち主だった。さっそくフサフサになるというシャンプーを使ってみた。きめ細かな泡で頭皮に馴染む気がした。髪の毛にフサフサ効果があるかは疑問だったが…。
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