二度目の初めまして

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「ぎゃああああ!」  一年振りの親子教室は、激しい癇癪から始まった。  前に通っていた頃より外と中の差を認識している真美のパニックは以前にも増して凄まじかった。  だけど、時間をかけて少しずつ慣れていき、娘には家以外の居場所が出来た。  また保育士さんの関わり方を真似たり、対応を教えてもらう中で、突然起こる癇癪も軽減していった。  パニックを起こさないように心掛けるのは「予告すること」。  と言うのも、真美の癇癪は「予期せぬことに驚いていたり」、「いつもと違うことが怖い」という私と同じ特性があるらしい。  だから事前に、「今日は昼から買い物に行く」と予告し、「もしかしたら、スーパーの配置が変わっているかもしれない」と買い物前に伝えることで心づもりをさせる。  それにより気持ちは落ち着くのか、目の前に起きた変化を受け入れるようになれた。  このままずっと親子教室に通いたいが、そうはいかない。  ここは入園までの小さな幼児が対象と決まっており、来年度で四歳になる娘は一般的には幼稚園に入園出来る時期に来ていた。    だけど私は幼稚園ではなく、療育園に通わすと決めた。  幼稚園みたいな施設だが、発達に問題を抱える子どものみを対象とした施設であり、今から三ヶ月後の春に入園が決まっている。  親子教室は狭い一部屋の少人数制に対し、療育園は広く人数も多い為、新たな環境に癇癪から始まるのだろうと覚悟している。
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