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家に帰って来た私は夕食を作って食べさせ、真美をお風呂に入れ、寝かしつける。
あの泣き叫びが嘘のように落ち着き、家では過ごせる。
一体何なのだろう?
そう思った私はネットで「癇癪」について調べてみた。
すると。
「発達障がい?」
娘が起こす激しい癇癪は、発達障がいの特性の一つである「パニック状態」の可能性があると記されていた。
しかもこのまま落ち着くことなく、成長する事例もあると……。
その後も検索すると乳児期の特徴が出てきて、泣き続けていたり、抱っこを嫌がったり、手足をやたらバタつかせて落ち着きがなかったり、言葉の遅れなど、まるで娘のことを記したかのように一致していった。
嘘? 嘘でしょう?
確かに、育てにくい子なのかもしれないけど、まさか。
今までの私なら、まだ一歳八ヶ月だからと笑っていただろう。
だけど今日、同世代を目の当たりにしてその幻想は脆くも崩れ去った。
「ただいま」
夜十時過ぎ、会社員の夫が帰ってきた。
夫の部署は激務で、帰宅は基本この時間。
いつもは「お帰りなさい」と迎えるけど今日は出来ず、健診のことと、ネットの情報を見せた。
「は? お前、自分の子を変だと言いたいのか?」
そう言う夫は日頃の疲れからか機嫌が悪く、私の話を最後まで聞いてくれなかった。
「真美は普通だよ! お前、母親なら子ども一人ぐらい世話しろよ!」
乱暴に立ち上がったあの人は用意した食事に手を付けず、脱衣室に向かって行く。
そのままシャワーを浴び、これ以上私の話を聞こうとしなかった。
何? このテンプレみたいな返事。
ネットに書き込んであった、我が子について相談した時の夫が示す反応集と全く同じで、笑ってしまうわ。
あなたは普段の真美を見ていないから知らないだけ。
だってあなたは、娘が泣いたら「うるさい!」と言うだけだもんね?
それを宥める大変さ、知らないもんね?
頭が割れそうなぐらい激しい声だって、知らないもんね?
相談する相手、間違えた。
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