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「いっくん」
「なに?」
「制服似合ってる。髪も切ったから、今まで以上にかっこよくなったね」
「そうかな」
いっくんはそっけない。
それでも俺にとっては十分だった。
誰の目にも留まらない。会話すらできない。誰にも必要とされない。
まるで自分だけが永遠と取り残されてしまっているかのように。
「ねえいっくん」
「...?」
「俺、いっくんのこと好きだよ。すごく好き」
「...そうなんだ」
「いつもありがとね」
「別に」
俺の想いを馳せた言葉もいっくんにとっては日常会話のひとつでしかない。
それでもすこしだけ口角の上がったいっくんの顔を見て、俺はどこか心が暖かくなるのを感じた。
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